アジア競技大会
男女が揃って優勝
男女のホッケー日本代表がやってくれました。
第18回アジア競技大会(2018/ジャカルタ)にて、男女揃って初優勝。
興奮を抑えきれず、これはブログに書かなくては、と久しぶりの更新です。
女子さくらジャパン
女子はこれまでのアジア大会にて、銀メダル、銅メダルがあっても、
あと一歩のところで獲得できていなかった金メダル。
W杯の出場権のかかったアジアカップでは優勝しても、五輪の出場権がかかったアジア大会では優勝がありませんでした。
今年2018年7〜8月のロンドンW杯では上位進出を目指しながらも13位に終わり、その悔しさもあったと思いますが、
アテネ、北京、ロンドン、リオと4大会連続で五輪に出場してきた経験値が、いま日本を代表してプレーしている選手たちに脈々と受け継がれ、
・スポンサーの獲得
・ファリー監督の招致
・海外遠征などの強化策の充実
など複合的な要素がうまく絡み合って、
今回それが花開いた大会となったのではないかと思います。
6試合を戦って、得点26に対して失点はわずか4。
失点が少ない。
大会を通じて素晴らしい戦いを見せてくれました。
好循環
女子は、
国内では社会人のいわゆる4強(ソニーブラビアレディース、コカ・コーラウェストレッドスパークス、南都銀行、グラクソ・スミスクライン)と学生の強豪校が切磋琢磨し合っていること。
また、森本さかえさんや千葉香織さんが海外リーグに挑戦して道を切り開き、
やっとその流れが加速してきたのか、
ここ数年で小野選手、及川選手、永井友理選手、永井葉月選手、山田選手、瀬川選手など海外リーグでのプレー経験を持つ選手の割合が増えています。
今回の代表メンバーには選出されていなくても、海外に挑戦している選手もいますし、もちろん国内で着々と力をつけている選手も多くいます。
ここから東京に向けてさらに選手選考なども厳しさを増していくと思いますが、
東京五輪に向けて、この好循環をさらに加速させていってほしいと期待しています。
サムライジャパン
男子は予選リーグでインドに0−8で大敗したものの、
負けたら下位決定戦に回る崖っぷちの予選最終戦で韓国に3−2(村田和麻選手の3ゴール)で勝利して準決勝進出。
準決勝ではホッケーが国技の強豪国・パキスタンに1−0の無失点で勝利。
昨年のオマーンでの3カ国大会でもパキスタンには勝っており、相性も良くなってきているのでしょうか。
決勝戦
決勝はインドをSO戦の末に倒し、勢いに乗るマレーシアと対戦。
激しい攻防を広げるも、日本のDF陣のちょっとしたミスを確実に付いてポンポンと得点を重ねるマレーシア。
#23のTengku選手のリバースヒットは脅威でした。
日本も負けじと、
ライン際を突破して角度のないところから決めた田中世蓮選手のゴールはお見事。
2点目、田中健太選手のフォアでのターニングからのシュートは、
シギさん(アイクマン監督)が頻繁にFW陣に課していたトレーニングをそのまま再現したようなシュートで、これまたお見事でした。
しかし、この試合は失点の多い日本。
後半残り9分の時点で2−5と先行される苦しい展開。
・・・
ここから、サムライたちは信じられないほどの粘りを見せてくれました・・・。
【52分(残り8分)】
田中健太選手が得意のドリブルで左サイドのサークルエンドライン際を突破し、中で待つ田中海渡選手にパス。
これをダイレクトで流して最後は福田選手が押し込む。きれいなチームゴール。
これで3−5。
【53分(残り7分)】
田中世蓮選手が巧みなリフトドリブルで相手の反則を誘い、PC(ペナルティーコーナー)を獲得。
このPCで日本は直接シュートを打たずに、バリエーション(パス回し)を選択。
膳棚選手のフェイントパス→山田選手→山﨑選手とつなぎ、
山﨑選手のシュート?のこぼれ球が田中健太の選手のもとへ。
これを落ち着いてヒットで叩き込み、4−5。
【58分(残り2分)】
パワープレーに出た日本。(GKを下げてフィールドプレーヤー11人でプレー)
パスを回し、山下選手がサークル内に打ち込む。相手のDFの左足側を通す、理にかなったパス。
これを山﨑選手がうまくリバースレシーブでおさめ、スマッシュヒットを叩き込む。
会心の同点ゴール。
これで5−5。
追いついた、日本。
【59分(残り1分45秒)】
東京五輪の出場権がかかったマレーシア。
ここで負けるわけにはいかない。
サッカーではずる賢さのことを「マリーシア」(ポルトガル語)と表現するそうだが、
個人的には「マレーシア」と呼びたいくらい、マレーシア代表はずる賢いプレーのできる試合巧者。
マレーシアはずる賢く、素早いリスタート。
日本DFは5mを離れていないと判定され、マレーシアがPCを獲得。
山下キャプテンが必死に審判に訴えるも、判定は覆らず。
このPCで、マレーシアが選択したのは、#17 Razie選手と#23 Tengku選手のホットライン。
マレーシアの十八番のひとつ。
ダイビングリバースタッチシュートで5−6。1点リードを許す。
Tengku選手は3点目。
恐るべし、32歳。
【残り25秒】
万事休す。
と思われたが最後まで諦めない日本。
山田選手がサークル付近で待ち受ける田中健太選手にパス。
マレーシアDFが田中健太選手に厳しいタックルをしたと判定され、日本はPCを獲得。
運命のPC。
日本のチョイスは、外タッチ。
ドラッグフリッカー(シューター)の膳棚選手から右ポスト際に走り込む田中健太選手にパスを送り、ワンタッチシュートを狙う作戦。
パスはうまく通り、田中健太選手もそれをしっかりとタッチ。
しかし、ベテランGK #16Kumar選手にセーブされる。
恐るべし、38歳。
今度こそ・・・・だめか。
一瞬落胆仕掛けた、そのとき
・・・・
・・・・
きっちりとリバウンドポジションに、赤いユニフォームが4人。
GKがセーブしたボールは、落合選手のもとへ。
これをきっちり押し込む。
(田中健太選手も山﨑選手もきっちりボールを避けて)
ゴール!
6−6。
追いついた!
アンビリーバブル!!
SO
SOについては
・山﨑選手。ナイス「クルリンパ」
・田中健太選手。安定のリバかきフェイント。
・村田和麻選手。決める男、さすが。
・吉川選手。あっぱれ。
・決められなかった選手にはこの言葉を。
ーーー
ロベルト・バッジオはこう言った。
「PKは蹴る勇気を持つものだけが外すことができる」
ーーー
あと映像を見ていて、感じたこととして、
・日本の選手がSOを決めたあと山下選手がSOを打たない選手の列全員とハイタッチをしていた。
これが明るい雰囲気でよかった。
(本人に「SOのときの山下の明るさ、いいね」とLINEをしたら「負けてたらダサかったけど」と返ってきたが)
ーーー
SOを担った選手もそうでない選手もまとまった雰囲気の日本。
吉川選手の好セーブでマレーシアは1ゴール。
日本は3人が決めて3−1。
見事、優勝を勝ち取りました。
伝えること
残り10分の日本の驚異的な粘りを文字に起こしてみましたが、
こういった試合中の一つ一つのプレーの積み重ねが試合の結果につながるわけで、
選手たちはその一瞬、一瞬のプレーの質を高めるために、
時間をかけてトレーニングをしています。
ほんの少しのポジショニングの違い、
ほんの少しのパスのズレ、
ほんの少しのコミュニケーションの相違。
これが勝ち負けを左右する世界。
勝った、負けた、といった情報はすぐに発信されますが、その勝ち負けの背景にはなにがあったのか。
観る側、応援する側はその背景を知ることで、楽しみ方の幅が増えるような気がします。
たとえばマイホッケーさんはちょっとマニアックな情報も発信していて面白いですね。↓
【さくらジャパン】【サムライジャパン】アジア大会優勝メンバーの出身高校と大学。横田高校からは男女あわせて9名です。 #ホッケー #サムライジャパン #さくらジャパン #アジア大会 #岐阜各務野 #横田 #羽衣学園 #石動 #沼宮内 #不来方 #築館 #丹生 #樋脇 #天理 #丹生 #伊吹 #今市 #山梨学院 #小国 pic.twitter.com/smnxio5APU
— マイホッケー(MY HOCKEY) (@myhockeyjp) 2018年9月2日
また、さくらジャパンもサムライジャパンもインスタグラムで公式アカウントを作って情報発信をしています。
さくらジャパン
サムライジャパン
あと、今回の決勝戦の戦評を穴井コーチが書いていましたが、これ、胸に来るものがありました。
文末には
「ジャカルタの夜空に、再び凱歌が響き渡る。日本男子はアジア大会初の金メダルを獲得した。」
かっこいいですね。
全文はこちらから。
何をしていくか
優勝というホットなニュースに突き動かされ、
「これはホッケーせずにはいられない!」ということで、
今日の午前中は三ノ宮の神戸レガッタ&アスレチッククラブでインドアホッケーを楽しんで来ました。(前回のブログで書いたやつです)
こちらはこちらで蒸し暑い体育館の中で熱戦を繰り広げ、
そのあとは
お二人とランチをご一緒させていただきました。
経営のお話なども聞かせていただきつつ、
自分が今後ホッケーとどう関わっていくか、なども相談させてもらい、
いろんな刺激をいただきました。
ホッケーという競技の楽しさ、
そしてそこでプレーしている選手たちの魅力や、その努力の過程など。
個人的にはこういったストーリー(物語性のあること)を「伝える」
ということに興味を持っている人間なので、
それをどういった立場で、どのように実現していくか。
徐々に動いていかねばと思いつつ、なかなか実行できていませんね。
ただ、アジア大会が始まる前からひとつ計画していたことがあり、
今月末には、このブログで書くとは思いますが、ちょっと動こう、と思っています。
詳細は後日になってしまうと思いますが、
また、更新したらご覧いただければと思います。
今後の直近の大会
女子日本代表さくらジャパンは、
9/10〜16 SOMPO CUP 女子4ヶ国 いばらき国際大会
男子日本代表サムライジャパンは、
9/18~22 ダーウィン・インターナショナル・ホッケー・オープン
と大会が続きます。
最後に
今回のアジア大会の優勝国には東京五輪の出場権が与えられる大会であり、
アジアの各国は本気で優勝を取りに来ていました。
日本の男女は既に「開催国枠」で出場権を得ていながら、見事に勝ち抜き、実力でも出られることを証明した形になります。
「アジア王者」として東京五輪に臨む日本。
あと2年。
本当に楽しみです。
今大会のいい流れ、盛り上がりをこれだけで終わらせることなく、
さらに弾みをつけるためにも、
ホッケーを知らない人に「ホッケー優勝したんですよ!」と話題に出したりしながら、
気運を高めていきたいですね。
最後になりますが、
選手のみなさん、コーチやスタッフのみなさん、本当におつかれさまでした。
感動をありがとう!
それではまた!
コメント
藤本一平 様
さっそく記事を、読ませていただきました。
ホッケー日本代表のアベック優勝は、東京五輪に向けて、まさに、最高の結果でしたね。
特に、あと一つ勝てば、五輪やW杯に出場出来る…というところで、涙を飲んできた、男子(サムライジャパン)の優勝には、決勝の展開も、さることながら、何かに導かれるような、そんな感覚さえ覚えました。
勿論、グラウンドで、死力を尽くした選手の皆さんはじめ、スタッフや関係者、さらには、これまで、代表として、悔しい思いをしながらも、挑戦を続けてきた、藤本さんたちの存在あってのことですが…。
長く厳しい冬を越えて咲く、さくらの花が、サムライたちにも、微笑んでくれましたね。
東京五輪では、男女共に、開催国&アジア王者として、どちらも、素晴らしいプレーを、期待しています!!!
最後になりますが、選手引退後も、こうして、情報発信を、してくださること、感謝いたします。長文、失礼しました。