日本人ホッケー選手のあるクセについて

ルール

高校生と対戦して

Facebookページで紹介しましたが、2017年最初の3連休の初日は庄内緑地公園に行ってホッケーをしてきました。

高校生と試合する中で、ひとつ感じたことがあります。

これは高校生だけでなく、全日本選手権でいくつかのチームと対戦したときにも感じたことですし、ベルテクスのチームメートにもこういう傾向のある選手がいるように思います。

なにを隠そう、僕自身もたまにやってしまうクセでもあります。

さらに言えば、昨年インドで開催されたジュニアW杯でのU-21日本代表の試合を観戦したときにも

「日本人選手はこの傾向あるなあ」

と感じたことなので、

今回、ここで書いてみたいと思います。

フリーヒット

それは反則後のフリーヒットにおけるクセです。

まず、ルールを確認すると、フリーヒットの実施手順について、競技規則にはこう書かれています。

13 罰則の実施手順

13.1 フリーヒットは、以下のように実施する:

a. 反則の起った場所に近い所から行われる。

「近い所」という表現は、反則が起こった場所からプレイ可能な範囲内のことで、これは、攻撃側があまり有利になりすぎないように意図するものである。
フリーヒットが行われる場所は、23mエリア内では、さらに正確でなければならない。

b. バックラインから15m以内の守備側のフリーヒットは、 反則の起こった地点を通る、バックラインから15m以 内の地点までのサイドラインと平行の線上から行われる。

(45〜46ページ)

ホッケー競技規則より引用
http://data.hockey.or.jp/2015/regulations/jha_regulations_rules_2015.pdf

日本人の傾向

このルールにあるように、

フリーヒットというのは反則が起こった地点(これを日本人はポイントと呼ぶことが多いです)に近い所からプレイが再開されるわけですが、

日本人選手の傾向として、このポイントに厳密過ぎると僕は感じています。

みなさんはどう感じているでしょうか。

もう一度、確認しますが、ルール上は

a. 反則の起った場所に近い所から行われる。

「近い所」という表現は、反則が起こった場所からプレイ可能な範囲内のことで、これは、攻撃側があまり有利になりすぎないように意図するものである。

と書かれています。

つまり、ある程度、ボールが反則のポイントからずれていても、攻撃側があまり有利になりすぎない場所であれば、そこからプレイをはじめても問題ないということです。

しかし、日本人選手はこのポイントに対して厳密な傾向があるように思うのです。

意識しているのか、無意識でやってしまっているのかは人それぞれだと思いますが、試合を観ていて、試合をしていて、そういうシーンが数多く見受けられます。

すぐにリスタートすればチャンスになるようなシーンでも、わざわざボールを元の位置に戻してしまう。

リスタートが遅れる。

その結果、相手はすぐに守備陣形を整えてしまい、攻撃のチャンスを潰す、ということになってしまうのです。

ある程度、ボールがずれていてもどんどんリスタートする。

これはスピードが重要な要素であるホッケーにおいて、意識したほうがいい点だと思います。

アジア大会の事例

実は2014年のアジア大会でこういったシーンがありました。

それは日本対マレーシアの試合でのことです。

日本が攻め込んでシュートは打ちました。

しかし、枠外に外れました。

この場合、以下のルールが適用され、マレーシアボールでプレーが再開されます。

7.4 ボールがバックラインを越えて、かつ得点でない場合は、

 a. 攻撃側によってプレイされた場合、ボールが越えた地点の延長上で、バックラインから15mの地点までの所(15m以内の地点ならその線上であればどこでもよい)にボールを置いてプレイが再開され、フリーヒットを行う手順が適用される。

競技規則 31ページより

もう少し、簡単に言うと、バックラインの延長線上からでしかマレーシアはプレイを再開することはできません。

しかし、マレーシアのDF・ラズィー選手は、自分の近くにあったボールをすぐにセットし、前方へパスを送りました。

このときのプレイは、日本のシュートが外れた地点とは明らかに違う地点の延長線上からスタートしたプレイでした。

しかし、非常に素早くラズィー選手がリスタートしたため、おそらく審判は気付くことができず、そのままプレイが続行されました。

そして、そのパスがつながってマレーシアのカウンター攻撃が成功し、日本は失点したのです。

このときのマレーシアのリスタートの早さに、日本は対応が遅れてしまいました。

自分の頭で考える

あきらかにルール上はアウトです。

しかし、そこで審判が気づず、笛を吹かなければプレイは続いてしまうのです。

ここで述べたいことは、ズルをしろ、ということではありません。

そういう世界があるから、それに対応できるように準備をしよう、慣れておこう、ということです。

ルールはきっちり決まっていますが、審判も人間です。

反則を見逃してしまうこともあります。

多少のポイントのズレがあっても、流す審判は流します。

最終的に判断すべきところは、 審判がどこまで許容するか、です。

試合毎に審判は変わるので、その都度、審判の傾向に合わせてプレーを変えていくことが賢い方法です。

ポイントを厳密に笛を吹く審判であれば、ポイントに厳密にプレーしているように見せる。

ポイントにそこまで厳密でない審判であれば、多少ボールがポイントからズレていても、すぐにプレーを再開してみる。

そういった頭の柔軟性が必要です。

自分の頭で考えて、審判によってプレイを変える。

だれでもすぐにできるわけではないと思いますが、そういう世界があると知っておくだけで、プレイが変わっていくのではないでしょうか。

審判の傾向

なぜ、日本人はポイントに厳密になる傾向があるのか、すこし考えてみました。

あくまで予想です。

1,なにごともきっちりやろうとする国民性?
2,審判がポイントに厳密だから?
3,指導者がポイントに厳密だから?
4,そもそもルールを知らないから?

おもにこのあたりじゃないかと推測しています。

そして、自分になにができるかを考えた結果、

4であればこの記事を書くことは解決に貢献できる可能性がある。

そう考えて、書いてみました。

審判や指導者の方々の認識を変えていくには、

このブログで情報を発信していくこともひとつですし、

あるいは自分がプレイするときに、

多少ポイントがズレていてもどんどんリスタートにトライしていくこともひとつの方法だと思います。

選手たちのプレイが変われば、審判の許容範囲も変わり、

審判の許容範囲が変われば、それに応じて選手のプレイ、指導者の認識も変わっていくと思います。

他人を変えようとするのではなく、自分の考え方や言動、行動を変えていくこと。

その結果、他の人々に何かしらの影響を与えていければいいのではないか、と思っています。

全員でレベルをあげる

さきほど、国際試合の事例を出しましたが、

ホッケー選手の全員が全員、世界を目指してプレーしているわけではないと思います。

だから、関係ないのか。

というと、

そうではないと思います。

世界を目指してプレーしている選手と対戦する可能性は誰にでもあるからです。

もし、日本のホッケーをすこしでも強くしたいと願うのであれば、

たとえ代表選手でなくても、プレイするからにはより高いレベルを目指すこと。

これが手っ取り早いです。

自分がうまくなって、自分が高いレベルを意識してプレイし、周囲に影響を与える。

日本代表を強くするためには、日本代表じゃない選手がうまくなることが手っ取り早いです。

相手がうまくなれば、それに負けじと努力するのが人間。

周りを変えたいなら、まず自分を変える。

これ、たぶん、人生の原則です。

というわけで、2017年は、多少のポイントのズレは気にすることなく、

どんどんリスタートしましょう。

それを繰り返してやっていけば、どこまでのズレが許されるのかさじ加減がわかってきます。

ちょっとポイントを戻したアクションを見せれば、審判は笛を吹きにくいです。

審判も人間ですから。

もう一度、言いますが、

多少のポイントのズレは気にすることなく、

どんどんリスタートしましょう。

これが当たり前になれば、日本のホッケーは、もうちょっとスピーディーになるかもしれません。

例外

注意しておきたいのは、23mエリア内のフリーヒットです。

ここはまったく逆です。

ルールにはこう書かれています。

フリーヒットが行われる場所は、23mエリア内では、さらに正確でなければならない。

ここではポイントのズレに敏感である必要があります。

むしろ、反則があった正確な地点に早くボールを持ってくる。

この動作をとにかく早くすることが大切です。

リスタートできない状況ならしなくてもいいんです。

でも、リスタートできる状況をすぐに作るクセを身につけておいたほうが、試合で相手のスキをつける可能性は高まります。

すぐにセットして、スキがあればリスタート。

すぐにセットしたけど、相手が対応してきたら、ゆっくりとプレイする選択をすればいいわけです。

23mエリア内のフリーヒットにおいて、よく見かけるシーンは、

ボールを反則地点まで戻したにもかかわらず、きちんとボールを止める動作を怠ってしまい、もう一度やり直しをさせられるケースです。

これも要注意です。

23m以内のフリーヒットと、それ以外のエリアでのフリーヒット。

ここでの使い分けをしっかりやっていくこと。

以上が今回書きたかったポイントです。

違い

スポーツの世界に限らず、日本では当たり前とされていることが、一歩海外に出ると当たり前でない、ということはたくさんあります。

どちらの当たり前が正しいかは、その状況によりますし、

正解や不正解が存在しない違い、というのもあります。

ただ、違いを知っておくことで、柔軟に対応できる可能性を高めることはできるように思います。

今回取り上げたフリーヒットというトピックは正解が状況によって変わるものです。

それに臨機応変に対応するには、自分の頭で考える力を養うこと。

これは、とくに若い選手には 早い段階から持っておいてほしい心構えでもあります。

指導者が言っていることを、素直に聞くことは大事です。

それと同時に疑って聞くことも大事です。

どちらの自分も統合して、うまく折り合いをつけていけば、自分の頭で考えられるようになるのではないかと思います。

あくまで、個人的な意見です。

ではでは。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今回の記事が何かのお役に立てれば幸いです。

それではまた!

藤本一平

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